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体術(柔術)で「二力の合成」という用語があり、例えば「肘はこう動かす。同時に肩はこう動かす。それぞれの力はこの向きで、1つずつなら対処できる。合わさるとこの向きになり、予想している向きと違うので対処でき...

体術(柔術)で「二力の合成」という用語があり、例えば「肘はこう動かす。同時に肩はこう動かす。それぞれの力はこの向きで、1つずつなら対処できる。合わさるとこの向きになり、予想している向きと違うので対処できない」というような理解をしています(この説明は高柳さん( http://kienkai.seesaa.net/ )の説明と実演を記憶を頼りに書いてますが、だいぶ誤解が入ってると思います)。ただ、これを自分の身体で表現するには、まだまだいろいろ足りてなさそうで、実際にはできないのです。それをなんとかできるようにしようと思ってたのですが、ちょっと考え方を変えてみることにしました。なので、今回の記事は「二力の合成」ではなくて、「二力の合成」をヒントにした何かの話ということになるのですが。

まず、肘の動きと肩の動きを別々に制御できるようにして、さらに連動させるというのは、いくらなんでも難しいので、もっと違うもので検討することにしました。肩から先の腕や手の部分と、足から腰を経て肩までの胴体で、この2つの動きだとすれば、もうちょっと理解しやすいと思えました。それで子供をだっこするとか、荷物を持つとか、ドアや襖を開け閉めするときの動きを観察してみると、胴体を固めて腕を動かしているケースと、腕を固めて胴体を動かしているケースの2つがあって、腕も胴体も動かしているというのがないということに気付きました。なので、まずは腕も胴体も同時に動かせるようにしようというのが目標となりました。

次に考えるのは、腕も胴体も同時に動かせると、なぜ体術の技が効いてくるのかです。腕の動きと胴体の動きで力が合成されるから方向がわからないというのもあるかもしれませんが、たぶん腕と胴体という大雑把なところでは、その効果もあまりないような気がします。これは本当に、そういう気がするだけで、根拠のある話ではないです。一方、「肘を曲げると相手も肘で対抗する。肩を動かせば相手も肩で対抗したり、肩が上がったりする。腰を使えば相手も腰が崩れる」という法則があって(この説明も高柳さん( http://kienkai.seesaa.net/ )や中島先生( http://hanmidosa-waza-ari.cocolog-nifty.com/ )の説明を記憶を頼りに書いてます)、これは反射の働きによるものなのか、あるいは力学的にそうなるのか、両方の理由があるのでしょうが、そういう法則があるのを見たり、体験したりしています。すると、腕と胴体を同時に動かせば、相手は腕に腕で対抗するのと、胴体に胴体で対抗するのを同時に行わなければならず、どちらを優先すればいいのだろうとパニックになるのではないかと。これは自分が技を受けた感覚からしても、そんなに違和感がありません。

それで息子と遊んでいるときなどにこっそり試してみると、手を引きながら一歩下がるような動きがそれに当たるようで、割と通りがいいようでした。さらに考えていくと、自分の動きではなく、相手をどう動かすかという制御の仕方がよいように思えました。これは例えば「自分の手を引きつつ、自分が一歩下がろう」という制御ではなくて「息子の腕や肩を前に出させよう。同時に息子に前に一歩出てもらおう」という制御です。これは僕はハンドルに似ていると思いました。「右手を下げて、左手を出そう」ではなく「ハンドルを右に回そう」となるはずです。同様に、自分がどう動くかではなく、相手のどの部分を動かすかという制御の仕方をすることで、「同時に動く」ということがやりやすくなるのではないかという気がしています。

二力の合成をハンドルの操作に喩える話

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