nyBBSの設計思想を推測してみる
P2Pインフラ研究会～「Winnyの技術」著者 金子勇氏講演 ～その１より:
Winny2はそもそも大規模P2P-BBSの検証のために開発された。
(中略)
- スレッドは一つのファイルで成り立つ。
- 1つのスレッドは1つのノードで管理される。 (これを管理ノードと定義しよう)
私もP2P-BBSを検討したことがあったが、 第2世代P2Pシステムで複数ノードで管理すると ファイルの内容のアンマッチがありとても大変！ http://homepage3.nifty.com/toremoro/p2p/bbs1.html
ちなみにDHTを使うと簡単にスレッドを管理させることが可能。- スレッドはWinny1のファイルダウンロードのように拡散。
- 書き込むときには、あるノードを介してから必ず管理ノードに書き込む。
- 上記のお陰で匿名性をある程度担保しているが、 実はノードが検索ボタンを連打すると管理ノードに直接繋がるというバグで、 匿名性は実は実現できない場合があったりする。
スレッドが管理ノードを必要とするのは、ある意味欠点です。 管理ノードがなければ書き込めなくなりますし、 バグがなかったとしても役割が固定されていれば追跡される可能性も高まります。
それでもあえてその設計にしているのには理由がありそうです。 P2PBBSの開発に力を入れていたわけですし。 nyBBSの設計思想を推測してみると、可能性が2つあります。
- スレ主(スレッドを立てた人=管理者=管理ノードの運営者)と 訪問者が会話するための道具として設計された。 訪問者同士が会話することは想定されていない。
- スレ主(スレッドを立てた人=管理者)に管理権限を持たせたかった。 管理ノードが固定されているのは技術的な問題で、 将来はデータはどのノードになっても スレ主が管理できるようにしたかった。
ファイル共有についても管理できるようにしたいという主旨の発言をしていて、 それはどうも最初に放流した人に管理権限を持たせたいということのようなので、 nyBBSの設計思想はたぶん後者(将来的には管理ノードが不要になる)なんじゃないかと 思います。
これは2chの設計とは違います。 2chではスレッド住人と運営側が分かれています。 初期新月では 削除人を置くことが想定されており、これも2chの設計と似ています。 nyBBSの設計がどこから出てきたのか謎です。 強いていうならteapot的なレンタル掲示板に似ているんですが、 2chからは出てこない発想だと思うんです。 たぶんファイル共有に管理権限をつけたいというのが 基になっているような気はするんですが。
ちなみに新月は「第2世代P2Pシステム」に属するようですが (といっても検索がなくても機能するわけだから世代分類自体があてはまらない)、 複数ノードで簡単にスレッドを管理しています。 新月の設計について関係者以外からの考察がないのはとても残念なことです。
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