新月の2つの敗北

朔1.2-beta1

朔1.2-beta1 を出した。さっそく問題点がみつかったので不安定版で修正しておく。探索ノードに対して/recentを発行するのだけど、 30回でやめておくコードが抜けていた。とはいえ現在は30もの探索ノードはないので大丈夫。

ベータ版の目的はリストやノートを廃止しても大丈夫かどうかを見極めることにある。

昔は Web Over P2P を考えていた

新月の初期に考えていたのは Web Over P2P に近くて、 2chだと外部のアップローダを使わなければいけないのでファイルアップロード機能は本体に入れてしまおうとかやってた。

リストは気に入ってた機能

リストは他の掲示板にはちょっとない機能だと思う。 1つのスレッドに複数のリストからリンクを張ることができ、スレッドの更新状況がリストから見ることができる。画期的かもしれないけど、実際にはほとんど使わなかった。今では一覧や最終更新があるけど、なかった頃から stat.txt を直読みしていた。 stat.txt というのはPerl版で各ファイルの最終更新などを記録していたファイル。

新月はいわば放送局

最近の考えは P2P Over Web になっている。なぜかというと、リストにしてもノートにしても、新月の仕組みとは相性が悪い。新月は新しい書き込みを短時間で配布する仕組みで、いわば放送局。昔の番組はビデオで保存してるんだけど、テープがどんどん劣化してしまう。リストやノートは古いデータでも重要かもしれなくて、劣化したテープは捨てればいいとはならない。

スレッドは1年経ったら書き込みは消える。リストでは1年前のリンクでも捨てていいかどうかの見極めはつかない。こうしてリンクは増える一方。見落としたリンクがあるかもしれないから、他のノードと同期するときは全てのリンクをチェックしなければならず、削除済みレコードとも比較しなければならないため、削除済みレコードも完全に消すことができない。リンクともあわせ、ごみが溜まる一方。

リンクがあっても、その先の実体があるかどうかはわからない。書き込みたい、というときには実体があろうがなかろうが関係なく、書き込むことはできるから問題ない。読もうというときには実体があるかないかが問題になってくる。今実体がなくても10分後には実体ができるかもしれないし、将来自分で実体を作るかもしれないから、リンクを消すこともできない。「先のないリンク」が「先のあるリンク」よりも多いんじゃないか、という気もしてきた。

とにかく、新月は仕組みから制限を受けて、 Web Over P2P 的に全てを載せるプラットフォームにはならないという気がしてきた。ならば苦手とするところは別のサービスに任せてしまえばよい。データを長期間保存するならノートよりもレンタルウェブスペースやWiki。書き込みを長期間保存するなら保管庫。リンクならソーシャルブックマークやWiki (掲示板の更新に連動はしないけど)。新月は掲示板のみ提供するが、他のサービスとの連携には気を使う。

新月は管理されない掲示板

そうすると新月の特徴もはっきりしてきて、それは「管理されない掲示板」ということ。もちろん個々のノードは管理されるんだけど、全体としては誰も管理しない。

「メロンパン」というスレッドがあればそれはメロンパンを語るスレッドであって、「メロンパンを語る、画像が添付できるスレッド」や「メロンパンを語る、画像が添付できないスレッド」といった区別はないし、「メロンパンを語る、Aさんが管理するスレッド」でもない。この辺はVojtaに対するアンチテーゼ。

掲示板の管理者は中立じゃないといけないという信念がある。スレッドで論争があったとき、管理者権限で一方の発言を削除したりしては駄目。論争のために負荷が増えたとして、負荷を減らすために双方ともアクセス禁止にするというのはあり。発言の多い側だけアクセス禁止にするというのもあり。掲示板を守るというためなら何をやってもよくて、それ以外は駄目という感じ。

2chだと巨大で運営側も個々のスレッドを把握しているわけじゃないと思うので、結果的に中立になっていると思う。新月だと将来的にも、 1つのノードにあるキャッシュは全部管理者が把握することになるだろう。それでも管理者の権限は自分のノードにしか及ばないので、結果的に中立になるはずだ。

おまけ

タイトルにある2つの敗北というのは、 Web Over P2P を捨てたことと、他の掲示板にはない(と思う)リストを捨てたこと。

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