朔2.0.2をリリースしました
リリース直後にバグ発見と修正、 その修正が修正になってないことに気付いてまた修正と、 相変らずのどたばたなんですが…
今回の変更点はファイルサイズの制限を撤廃したことです。 これにより技術的には過去の書き込みを消さずに残しておくことが可能になりました。 これは悩んだところで、 もともと新月はネットワーク上にある過去の書き込みを 全て集めることはできないわけです。 欠点といえば欠点なんですけど、設計の意図としては 「これは要らないや」と誰かが判断して自分のノードから削除した書き込みは ネットワーク全体でもそのぶん影が薄くなって、 以降の入手がより困難になるという仕掛けです。 全ての書き込みを集めることができるとしたら 影が薄くなるという仕掛けの意味がありませんからね。
その過去の書き込みは影が薄くなりますよ、 というのを端的に表わす仕掛けとして、 定期的に書き込みを削除するようにしたわけです。 1ヶ月前までの書き込みは一応存在するよ、それ以前は魔界だよ、ということで。 これがなんか不評で削除はしないことにしたわけです。 しかしこれもいいか悪いかわからないんですよね。 UIとしては過去の書き込みを残してますけど、 実際にはその辺りは魔界になっているわけで、 しかし魔界であることが意識されないわけです。
この辺はUIの問題かなと思っています。 実際にはP2Pのややこしいところを意識しないと使えないはずなのに、 UIは2chの真似みたくなっていて、裏で何が起きているのかを全く意識させません。 意識しなくても使えるんならそれはそれでいいんですけど、 実際はそうはいかないわけで。
これと関連する話として、 新月は誰が使うソフトなのかというのも曖昧というか迷走しています。 もともとは一部の「自宅サーバ属性」の人がノードを動かして、 ゲートウェイを公開して、多数のユーザがそれにぶら下がるということを考えていました。 今でも「管理者」という言葉があるように、そのアイデアが残っています。 一方でWindows版があったり、「簡単に導入できますよ」みたいな表現があったりします。 しかしもともとUnixアプリなのでWindowsでも使い易いかというと、そうでもないと思うし。
そういえばWikipediaのことを Wikiと呼ぶ人が増えているみたいなんですけど、 掲示板と2ch(2chスタイル)が同義語みたいに 思われているということはないのかな、と。 ミクシィが上場した件で、 新聞記事だったと思うんですけど、 「mixiは掲示板と違って安全」というような表現があって、 mixiのコミュニティという機能にはトピックという機能があって、 メニューでは「掲示板」と表示されているわけで、 矛盾してないかと内心つっこんだわけです。 「掲示板を含むmixiは掲示板と違って安全」って変でしょ。 つまりmixiと比較されているのは特定の種類の掲示板で、 たぶん2chとその仲間です。
2chが掲示板に及ぼした影響って大きいと思うんですけど、どうでしょう。 過去ログは半永久的に保存される(今は会費を払わないと読めませんが)とか、 新しい書き込みが下に追加されるとか(古きよきteacupでは上に追加されていました)、 スレッドフロート型だとか。 先ほど例に出したmixiの掲示板も同様の仕掛けになっています。
だから掲示板というと2chを想像して、 2chとは違う箇所があると失望する、みたいなこともあるかもしれません。
新月といえばリリース直後にバグが見付かるのが常ですが、 今回も2回も修正したわけで、困ったなあ、と。 結局人手が足りてないんですよね。
あ、UNIX MAGAZINE (ユニックス マガジン) 2006年 10月号 [雑誌]買ってきました。
もちろんWinnyが「悪い」アプリケーションであることはいうまでもない。
とかいって、Winnyを犠牲にしてP2P技術を生き残らせる方針まんまんです。
似たようなアイデアとしては
「違法な使い方をするユーザが悪い。まともなユーザやWinnyや金子さんは悪くない」
とかあるんですけど。
まあそれはどうでもよくて、
新月が全く話題になってないのがなんだかなあ、と。