朔がなかなかリリースできない
「遅れても困る人はいない , リリースは政治パフォーマンスなんだよ。」はRubyの話で、 新月はRubyとは比較にならない小さいプロジェクトなんですけど、 「リリースは政治パフォーマンスなんだよ。」にあるような リリースが政治パフォーマンスだというのには同意だったり。
この辺はWindowsユーザにはなじみがない話で、 多くのGNU/LinuxやFreeBSDに限ったことかもしれませんが、 それらでは多くのソフトウェアがパッケージシステムに組み込まれて配布されているわけです。 WindowsだとRubyをインストールするには 公式サイト等からダウンロードしてインストールするんですけど、 GNU/LinuxやFreeBSDだと例えば「apt-get install ruby」みたく OSのコマンドを使うことで、どこからともなくダウンロードしてきて、 勝手にインストールしてくれます。 だからLinuxディストリビュータが「○○Linuxのver.XXにはRuby1.8を入れよう」なり 「Rubyの2006年8月31日版を入れよう」なり勝手に決めればいいことで、 Rubyの開発側がリリースにとらわれることのない未来があってもいいかな、という話。
で本題なんですけど、 新月の実装である朔の2.0.0が なかなかリリースできないでいます。 Rubyのような「把握しているバグを潰すまで出せない」というのとは違って、 散発的にバグがみつかり、いちいち修正しているので、 いつになったら「まあ大丈夫だろう」と宣言できるのかわからない、と。
一方で早くリリースして楽になりたいという気持ちもあるんですけどね。 またはリリースという制度を止めてしまって 「今日の最新版」だけでもいいかなという気持ちもあるにはあるんですけど。 Debianでいうところの 不安定版とテスト版だけで運用するみたいな。 まあ政治パフォーマンスとしてリリースが必要だとは思っていて、 そのためにリリースをなくすわけにはいかないと思ってるんですけど。
ユーザの要望を把握できていないらしいというのも気になっているところですけど、 まあしょうがないかなという気持ちもあります。 そもそもの問題として、 自分の理想とする掲示板システムを追及すべきという路線と、 ユーザの要望はできるだけ取り入れるべきという路線があって、 どちらも一理あるとは思っているんですけど、 どう折り合いをつけるかというのがあります。
あとは新月が「The P2P-BBS」なのか「A P2P-BBS」なのかという話もあって、 開発当初はいろんなP2P掲示板がありましたので、 例えばVojtaに対して新月の特徴はこうで、好きなものを使ってください、 という感じで個性を打ち出すのがいいかなと思ってたんですけど、 最近は Frost, nyBBS, RinGOch, 新月 くらいかな、あまり把握してません、 とにかく数が限られてきてしまったので、 「P2P掲示板というならこんな機能があってしかるべきだ」 みたいな要望になっているのかもしれません。
新月は割とシステムが運用を規定するというか、 僕が想定した使い方を前提に作られている感じで、 その使い方を外れるととたんに使いにくくなるだろうなと思っていて、 「この機能がほしい」→「いや、そういう使い方はしないから」 となっていて、これもいいのやら悪いものやらという感じです。 かといって朔をみれば分かると思いますけど、 見れば使い方がわかるというようにはなっていなくて、 使いながら予め想定した「正しい」使い方を探っていくようになっていて、 これはよくないものだと思います。
だから方向性としては、 予め想定した使い方が一目でわかるようにソフトを作っていくというのが1つと、 いろんな使い方ができるようにソフトを作っていくのが1つとあるわけで、 どうバランスをとるのがいいのかというのが難しいところです。