blog.fuktommy.com

C/SからP2Pへ

はじめに

以前C/S(クライアントサーバ)の多義性について述べた。 今回はそれを発展させて、C/SをP2P化することに どのような意味があるのかについて議論する。

C/Sを「中央集権的な1つのサーバと多数のクライアント」と考えるか、 「多数のサーバが無秩序にある状態」と考えるかでP2P化には全く違う意味ができる。 それぞれ「少数のサーバの機能を分散すること」と 「多数のサーバを連携させること」という意味になる。

この記事はもしNapsterがC/Sでやろうとすると(1)をヒントにし、 「徳力基彦: 図解P2Pビジネス」の感想をもとにしている。

少数のサーバの機能を分散することとしてのP2P

もしNapsterがC/Sでやろうとすると(1)で想定されているのは、 Napsterが自分でアップローダを運営することである。 徳力基彦: 図解P2Pビジネスでも同様に、 C/Sを1つのサーバと多数のクライアントとして捉えている。 この文脈では、P2P化するということは、 それらのサーバの機能をクライアントに分散して持たせることである。

アップローダを運営するのではハードウェアだけでも1000億ドル近くのコストがかかるという。分散することでコストを抑えることができる。

多数のサーバを連携させることとしてのP2P

WWWを見ればわかるように、ネットワーク上には多くのサーバがある。 世界に1つだけのWWWホストがあって、 そこからデータを引出しているというわけではない。 この文脈では、各自がそれぞれ勝手にサーバを運営するのではなく、 ある仕様のもとに協力・連携することがP2P化である。

Napsterの例でいえば、 各自がそれぞれWebスペースを借りたり 自宅でWebサーバを動かしてファイルを公開しているだけでは 検索しにくかったり、ファイルが存在するかどうかわからなかったりする。 プロトコルを決め、各自のPCでファイルを公開し、 その情報を検索サーバに集めることで効率よくファイルを共有しようとした (ばるぼら: 教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書p.347)。

まとめ

P2P化は2つの全く違う意味を持っている。 逆の意味とすら言えるかもしれない。

以前P2Pで個人の設定ファイルを共有する状況について議論したことがあった。 今考えてみると相手はたぶん組織に1台のファイルサーバがあって、 そこに設定ファイルを保存し、必要に応じて取り寄せる状態をC/Sと考えていたようだ。 僕は各PCでSSHDのようなサーバを動かし、 必要に応じて設定ファイルを交換する状態をC/Sと考えていた。 その上で、C/SをP2P化するメリットは何かと議論していた。 これでは話が噛み合うわけがない。

Copyright© 1998-2014 Fuktommy. All Rights Reserved.
webmaster@fuktommy.com (Legal Notices)