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ビジネスP2Pと草の根P2P

はじめに

分散指向P2Pと協調指向P2P」ではP2Pを目的別に2つに分けてみました。 「P2Pがわかる本」感想文シリーズ第2弾として、今回は運営方法に基いてP2Pを分類し、 それぞれの利点と制約について書こうと思います。

運営方法によるP2Pの分類

ビジネスP2P
ビジネス用途に使う(ことのできる)P2P技術。またはアプリケーション。
主に企業が開発し、運営する。
例: Skype, アリエル・ネットワーク社 の各種製品
草の根P2P
主に個人ユーザを対象とするP2P技術。またはアプリケーション。
主に個人が開発する。
例: Winny, 新月

「P2Pがわかる本」ではビジネスP2Pと対比されるものは「ファイル交換P2P」ですが、 必ずしもファイル交換に限った話ではないので草の根P2Pと呼ぶことにします。

制約

ビジネスP2Pの制約

「P2Pがわかる本」第5章によるとビジネスP2Pでは ユーザ管理やコンテンツ管理のためにサーバ (「分散指向P2Pと協調指向P2P」では低負荷・常設サーバと呼びました)が必要です。 低負荷・常設サーバがなければコンテンツへの安定したアクセス、 著作権の管理、ユーザの行動の追跡などができません。

しかし低負荷・常設サーバが必要なのは利点でもあります。 ユーザは料金をサーバの利用料と解釈することができるので、 料金を払うのに抵抗がなくなるのではないかと思います。

草の根P2Pの制約

草の根P2Pには、ちょうど逆の制約があります。 低負荷・常設サーバを運営できないので、 低負荷・非常設サーバだけで全てをまかなわなければならないことです。

もしユーザ管理サーバを作ったとすると、 24時間365日アクセスできなければなりませんし、 予想よりユーザが増えたら回線やハードウェアを増強しなければなりません。 それは個人には負担の重いことです。

技術的にはユーザ管理サーバを分散することや、 SkypeのスーパーノードやWinnyの上流ノードのように、 条件を満したノードに任せることも考えられますが、 困難なことに変わりはありません。

まとめ

ビジネスP2Pにも草の根P2Pにもそれぞれ利点と制約があります。 ビジネスP2Pはユーザやコンテンツの管理をしなければならないこと、 草の根P2Pは管理をしようと思っても困難なことです。

ビジネスP2Pに対する言葉としてファイル交換P2Pと呼ぶのは実態に合っていませんので、 草の根P2Pと呼ぶことを提案します。

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